千鶴「山崎さんにできることはたくさんあります!」
私は山崎さんの言葉があまりにも切なくて、どうしても否定したくて、大声でそう叫んだ。
山崎「できることと言えば、君の血を犬猫のように舐めることしかできないさ。もう人間ではないからな」
山崎さんは自嘲するかのようにそう言った。
千鶴「山崎さんは人間です。新選組に必要な人です。……血を飲むことに抵抗があるのは分かります。ですが、私はそんなこと気にしません!だから山崎さんも遠慮なんかいらないんです!」
山崎「やめてくれ。俺は生きる為という身勝手な理由で変若水を飲んだ。俺はまた身勝手な理由の為に君の血を啜れと言うのか?」
千鶴「はい!」
山崎「!?」
千鶴「山崎さんは身勝手です。身勝手に変若水を飲んで、身勝手に自分の居場所はないって思い込んで。そんなに身勝手なんです!なら身勝手に血を飲めばいいじゃないですか!」
山崎さんは呆気にとられたように目をパチクリする。それから不意に笑い出した。
山崎「っふ、ははは……君は本当に変わっているな」
千鶴「山崎さん?」
山崎「そうか、俺は身勝手なのか。そうかもしれないな。はは」
山崎「どうした雪村君、変な顔をして」
千鶴「……山崎さんが声を出して笑う所、初めて見た気がします」
山崎「そうだな、俺も久々に笑ったよ」
山崎「俺は幸せ者なのかもしれないな」
千鶴「幸せですか?」
山崎「君と言う同志がいると思うと、心が落ち着く。先程は弱音など吐いてすまなかった。恥ずかしい限りだ」
千鶴「いえ、私は山崎さんに元気になってもらいたいんです。どんなことでも、思ったことは話して下さい。私でよければ……ですけど」
山崎「ああ、頼む」
【山崎好感度1上昇】
土方「山崎、それに千鶴。少し話がある」
千鶴「私もですか?」
土方「そうだ」
山崎「行くぞ、雪村君」
千鶴「はい!」
土方「山崎、体の調子はどうだ?」
山崎「はい、鳥羽伏見の戦いで受けた傷はほぼ癒えました」
土方「そうか……」
暫し沈黙の時が流れる。
土方「単刀直入に言う。山崎、お前を監察方の任務から外す」
山崎「………仕方ありません。日の下ではまともに動けず、いつ狂気に狂うかわからない身で務まる任務ではないと覚悟していました」
土方「だがな、お前には大変重要な任務に就いてもらいたい」
山崎「重要な任務?」
土方「山崎、お前には、千鶴の護衛役を任せる」
千鶴「私の護衛?」
土方「新政府軍が江戸に向かってきている。鬼の奴らも一緒に来ているはずだ。これからの戦は俺達幕府軍が不利な状態になるだろう。…そんな中、安心して千鶴を任せられるのはお前しかいない」
土方「千鶴を頼むぞ」
山崎「承知いたしました」
山崎さんの声には、いつもの張りが戻っていた。
土方「近々、甲府に出陣することになる。お前達も行軍についてきてもらう。相手は新型の武器を持っている。怪我人も多く出るだろう。お前達の力が必要なんだ。……すまねえな」
山崎「何をおっしゃるのですか!新選組の一員として戦える事を誇りに思います」
千鶴「私もできることを精一杯努めます!」
土方「そんなに意気込まなくていいんだぜ。とにかくだ、この任務は非常に重要である。しっかり頼んだぜ?」
そう言い残すと土方さんは部屋から出て行った。
隣にいる山崎さんが一度立ちあがり、そして私の前に座り直した。
山崎「雪村君。君の護衛役を仰せつかった。俺は君を必ず守る」
千鶴「よ、よろしくお願いします!」
【必ず守る】という言葉に私は恥ずかしさを覚え、俯きながら答えた。
そのまま上目遣いで山崎さんの表情を覗いてみると、先程までと打って変わり生き生きとしていた。
新選組に居場所がないと思っていた彼に、彼にしかできない任務を土方さんは用意してくれたのだ。私は自分の事のように喜び、胸をなでおろした。
さてみなさんは、どちらを選択しました?
一応、こちらの方が好感度上がる仕様にしましたが、もう一つのエピソードの方が良かったっというご意見もありましたらお待ちしております(笑)
とりあえず、選択肢はあまり気にせず、続いてみましょう!(BADENDもありますので慎重に選んでみて下さいw)